第79回奨励会三段リーグ戦 - 四段昇段を争う最終2局
第79回奨励会三段リーグは16局を終え、9月5日の最終2局を残すのみ。公式表をもとに先頭集団、リーグ順位の意味、最終日の見どころを整理します。

この記事で分かること
- 三段リーグから四段へ昇段する基本条件
- 第16局終了時点の先頭集団
- 9月5日に行われる最終2局の組み合わせ
- 勝敗数だけでなく「リーグ順位」を見る理由
日本将棋連盟の公式成績表を2026年8月22日に確認して構成。第17局・第18局は未対局であり、結果確定後は公式発表を正本とする。
30秒で分かる現在地
残るは、わずか2局。
第79回奨励会三段リーグ戦は16局を終え、國井勝太三段(リーグ順位2位)と渡邊晴磨三段(同39位)が12勝4敗で先頭に立つ。1勝差の11勝5敗には、祝井優希三段、木村友亮三段、高坂直矢三段、戸川悠二郎三段、花村晃斉三段の5人。誰にも気の抜けない大混戦だ。
最終日は9月5日。午前と午後に1局ずつ、計2局を戦う。原則として最終成績の上位2人が四段へ昇段する。プロ棋士への2枚の切符を懸けた、最後の一日が始まる。
四段への最終関門「三段リーグ」
奨励会は、日本将棋連盟の棋士養成機関。その最上位に位置するのが、東西の三段が半年にわたり全18局を戦う三段リーグだ。
四段昇段の基本条件は、リーグ1位または2位。3位には次点が与えられ、公式規定では次点を2回獲得するとフリークラスへ編入する資格を得る。
ここで勝敗数と同じほど重い意味を持つのが、成績表の左端にあるリーグ順位だ。これは現在の勝敗順ではなく、開幕時に定められた順位。同じ勝敗で並べば、この数字が小さい側が上位となる。たった一つの順位差が、最後に明暗を分ける。
第16局終了時点の先頭集団
- 國井勝太三段:12勝4敗(リーグ順位2位)|第17局・花村晃斉三段、第18局・生垣諒人三段
- 渡邊晴磨三段:12勝4敗(同39位)|第17局・吉田響太三段、第18局・長崎天飛三段
- 祝井優希三段:11勝5敗(同14位)|第17局・藤原悠暉三段、第18局・入馬尚輝三段
- 木村友亮三段:11勝5敗(同17位)|第17局・上田琥珀三段、第18局・山口裕誠三段
- 高坂直矢三段:11勝5敗(同19位)|第17局・入馬尚輝三段、第18局・渋江朔矢三段
- 戸川悠二郎三段:11勝5敗(同20位)|第17局・北村啓太郎三段、第18局・鳥巣友希三段
- 花村晃斉三段:11勝5敗(同29位)|第17局・國井勝太三段、第18局・関祐人三段
- 北村啓太郎三段:10勝6敗(同10位)|第17局・戸川悠二郎三段、第18局・吉田桂悟三段
- 入馬尚輝三段:10勝6敗(同16位)|第17局・高坂直矢三段、第18局・祝井優希三段
見るべきは先頭の2人だけではない。11勝5敗の5人は、2連勝すれば13勝5敗へ到達する。花村三段―國井三段、戸川三段―北村三段、高坂三段―入馬三段、祝井三段―入馬三段。昇段争いの当事者がぶつかる一局は、勝者を押し上げると同時に、敗者を大きく後退させる。
最終日の条件をどう見るか
先頭の2人
國井三段と渡邊三段は、2連勝なら14勝4敗。11勝5敗の追走者が届く最高成績は13勝5敗のため、14勝へ到達した時点で昇段圏を確保する。自らの勝利だけで道を切り開ける位置だ。
ただし、1勝1敗で13勝5敗となれば景色は一変する。同じ13勝5敗へ到達した人数とリーグ順位が昇段者を決める。リーグ順位2位の國井三段と39位の渡邊三段。同じ「あと1勝」でも、その意味はまるで違う。
11勝5敗の5人
祝井三段、木村三段、高坂三段、戸川三段、花村三段に必要なのは、まず2連勝して13勝5敗へ到達すること。そのうえで先頭2人の結果を待つ。自分の盤上に集中しながら、別室の一局が運命を左右する。三段リーグ最終日ならではの緊張がここにある。
10勝6敗の2人
北村三段と入馬三段は、2連勝で12勝6敗。昇段には多くの結果が絡むが、最終日には上位候補との直接対局が組まれている。自らの可能性をつなぐ一手が、そのままリーグ全体を動かす一手になる。
9月5日に注目したい三つのこと
1. 午前と午後で条件が変わる
最終日は第17局と第18局の2局制。午前の第17局が終われば、「勝てば自力」「勝ったうえで他局待ち」といった条件が一斉に書き換わる。午前の一勝が、午後の盤にかかる重圧まで変えてしまう。
2. 勝敗とリーグ順位を一緒に見る
勝敗が同じならリーグ順位が優先される。公式表を見るときは「勝」「敗」だけでなく、左端の順位も追いたい。勝ったのに届かない。敗れてもなお残る。その分岐を生む数字だ。
3. 公式発表を待つ
複数の対局が同時に進むため、一局の終了だけでは全条件が確定しない場合もある。速報に心を揺らされても、最後は日本将棋連盟の公式発表と最終成績表を待つ。昇段者の名が刻まれる、その瞬間までが最終日だ。
年齢制限について
奨励会には年齢制限がある。公式規定では、原則として満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段へ昇段できなければ退会となる。ただし、最後にあたる三段リーグで勝ち越せば在籍を延長でき、満29歳のリーグ終了が上限となる。
この規定が一局の重みをさらに増す。ただし、各参加者がどの延長条件に該当するかは、公開情報だけで推測すべきではない。本記事も、公式成績表で確認できる年齢と勝敗に限って扱い、個人の退会条件は断定しない。
最後の2局を見届けるために
三段リーグの最終日は、首位だけを眺めていては全貌が見えない。勝敗数、リーグ順位、直接対局。この三つを重ねたとき、1局ごとに昇段条件が揺れ動くドラマが浮かび上がる。
第79回は、12勝4敗の2人を11勝5敗の5人が追う大混戦。9月5日、午前の一局で条件が変わり、午後の一局で結論が出る。
四段への2枚の切符をつかむのは誰か。最後の一手まで、目を離せない。
参考資料
確認日:2026年8月22日